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投稿日｜2016.7.5

交通事故の加害者は、法律上、刑事責任を科せられ場合があります。

加害者の負う刑事責任

　交通事故の加害者は、さまざまな法的責任を負うことになります。

具体的には、刑事責任、行政上の責任、民事責任があります。

 

民事責任・・損害賠償責任です。被害者に対して、交通事故によって被った被害を填補するために

損害賠償をしなければならないという法的責任です。

また公益的な見地から、自動車運転免許の取り消しなど行政上の責任を課せられる場合もあります。

そしてこの行政上の責任と同様に公益的な見地から加害者に対して課せられる法的責任

として「刑事責任」があります。

刑事責任・・端的にいうと刑罰を科せられるということです。

 

人身事故の場合の刑事責任

人身事故には被害者が障害を負った場合と亡くなられた場合とがあります。

さらに傷害と言ってもその程度はさまざまでしょう。

軽微な傷害もあれば生命侵害に比肩するような重症なものもありますし、また、後遺症が残るようなものもあります。

いずれにしても、人の生命や身体という最も尊重されるべきものを侵害しているのですからその被害は

小さくありません。そのため、物損事故よりも重い刑事責任が科されることとなります。

特に自動車事故に関しては、厳罰化の傾向があります。その為、平成２６年５月２０日から

新たに人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)が施行されています。

 

過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法５条)

自動車事故の場合、被害結果が傷害であれば過失運転傷害罪が、被害結果が死亡であれば、過失運転致死罪(併せて過失運転致死傷罪)が科せられるのが通常です。

自動車事故の場合、かつては刑法上の業務上過失致死傷罪が適応されていましたが、近時の悪質な自動車事故に対して厳罰を科すべく、平成１９年自動車運処罰法が刑法において新設されるに至りました。

過失運転致死傷罪の場合７年以下の懲役もしくは禁錮か、または１００万円以下の罰金が課せられる事になります。

危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法２条以下)

自動車運転によう交通事故の中でも、特に悪質なものについては、より重い危険運転致死傷罪が科せられます。

具体的に言えば、正常な運転が困難な程の飲酒運転や、薬物使用運転、高速運転、技能不足状態での運転、信号無視などの場合にこの危険運転致死傷罪が適応されることになります。

危険運転傷害罪の場合には、１月以上５年以下の懲役が科せられ、危険運転致死傷罪の場合には、１年以上２０年以下の懲役が科せられることになります。

 

飲酒運転については、酩酊の程度が正常な運が困難な場合でも、人を負傷させた場合には、１月以上１２年以下の懲役に、人を死亡させた場合には１月以上１５年以下の懲役に処されまた、飲酒していたことを隠そうとした場合には別途１月以上１２年以下の懲役に処されることがあります。

業務上過失致死傷害罪(刑法２１１条)

前記のとおり、自動車事故につては、自動車運転刑罰法がメインとなりますが、自動車事故以外の交通事故についてはこの業務上過致死傷罪の適応となります。(同上前段)

業務上過失致死傷罪の場合、1月以上５年以下の懲役もしくは禁錮か、または１００万円以下の罰金が科せられることになります。

業務上過失致死傷罪に当てはまらないものの、通常の場合よりも過失の程度が重大であるような場合には、重過失致死傷罪(同上後段)が適応されるという場合もあります。

近時は、自転車等の交通事故に適応されることが多いようです。

 

その他の刑罰

前記の各刑罰はあくまで過失による交通事故の場合です。

加害者に故意があれば、殺人罪(刑法１９９条)や傷害罪(刑法２０４条ということになるでしょう。

また刑法以外にも、無免許運転、自賠責に加入していない場合。車検を通していない場合

事故後に救護義務に違反した場合、飲酒運転の場合などは、道路交通違反によって刑罰を科される場合があります。

 

物損事故の場合の刑事責任

物損事故の場合にも、被害者の方の財産を侵害していることは間違いありませんから

刑罰を科されるという場合があります。

財産にたいする侵害というと器物破損罪(刑法２６１条)という犯罪がありますが、この器物破損罪には過失犯がありません。つまり、過失で他人の財物を壊したとしても、器物破損罪に科されることはありません。

したがって物損事故の場合に刑事責任の問題が生ずるとすれば、事故が故意によるものであった場合や道路交通法に違反していた場合に限られるということになるでしょう。

ただし、損壊したものが建造物であった場合には過失建造物損壊罪(刑法２６０条)の刑事責任を問われることはあり得ます。

 

プロローグ～交通事故に遭ったら

第一話～交通事故の流れ

第二話～初期に気づかないムチウチ

第三話～ムチウチとは？

第四話～ムチウチのこんな症状

第五話～病院と整骨院の違い

第六話～慰謝料・通院費

第七話～加害者・自損事故

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